ほんのたびびと     ~something of a traveller~

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NO!を言わせない魔法の交渉術[戦国策 魏策]

 気づけばほぼ二か月が経過してしまいました(;^ω^)

記事を待ってくださっていた方々、申し訳ございません。

コロナで停滞していたしわ寄せが予想以上でした。

皆さんも新型コロナの影響で大変な状況であると思いますが、乗り切っていきましょう!

 

◆目次◆

 

 

 

●魔法の交渉術、知りたくない??

 

あなたは

 

「どうしても相手にこうしてほしい!!」

 

と思うときがありませんか??

 

例えば、社会人の方であれば仕事で取引先との交渉の時。

 

ここは、どうにかしてでも無理やり相手の頭を縦に振らせたい!!

 

でも、できるだけ穏便にことは済ましたいですよね(笑)

 

 

じゃあ、相手に自然に頭を縦に振ってもらう。

 

 

つまり、波風立てずに100%Yesと言わせるにはどうすればよいでしょうか?

 

実はこれから紹介するのは、現代でもよくつかわれる「強力かつ「簡単」で、相手が魔法にかかっていることに気づかない交渉術になっているのです。

 

あなたも実は知らないうちにこの魔法にかかっているかも??

 

では本日もいきましょう!!!

 

 

 

●舞台はまたもや魏(ギ)!

 

4本目も「戦国策」です!!それも「魏策」から!!

 

舞台は再び戦国の七雄と呼ばれる列強の1つ、の国です。

 

前作で魏のおおまかな歴史を紹介しました。

 

まだ「読んでいない!」という方は短いので是非ちょこっと読んでみてください!

 

魏は、敗戦を重ね、列強の軍を退けられるだけの強力な軍を失ってからは、ひたすら交渉によって難事を乗り切ろうとするようになります。

 

 

そのため、交渉の技術がなにせめっちゃ高いです!!

 

 

 

 

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戦国時代の勢力図

https://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

 より引用。

 

●背景

 

実はほぼ前作と同じ時代の話です。魏が覇権を失ったあとですね。

 

魏は同じく安キ王(あんきおう)の御代。

 

この王は、猜疑心旺盛で、さらに野心家と前作で紹介しました。

 

つまり、問題児の資質を持っているんですね。

 

で、またこの人の迷走が原因でこの逸話が生まれました。(;^ω^)

 

この人、なにかをやらかそうとしないと気が済まない人のようです(笑)

 

今回は、秦が魏に隣国の韓に連合して攻め込み、領土を広げようという誘いがかかるところから始まります。

 

好機到来!!!!!!

 

とばかりに

 

またまた安キ王は再び魏の力をみせつけようとして、南隣のに、

当時もはや一強状態だった元敵国「」と共同して侵攻し、領土を拡大しようと計画します。

 

実は「」と「」は、もともと「」という大国が分裂してできた兄弟国で(ちなみに前作ででた「」もです)、非常に仲がいい国同士でした。

 

しかし、

 

魏の安キ王は自国と自分しか見えていないので、ついにめちゃめちゃ強い宿敵と組んで弱い兄弟国を攻撃するという暴挙を考えたのです(笑)

 

 

 

 

●王、暴挙を臣下に諮問する

 

 

しかし前作と異なり、さすがに自身でも「暴挙かも??と思ったのか、

臣下である張旄(ちょうぼう)に事の是非を諮問することにします。

 

ではお話を、心の声付きで紹介します。(笑)

 

王「強い秦と連合して、弱い韓を攻撃しようと思うが、お前はどう思う??

  (攻撃して領土を広げたい!)」

 

張旄「恐れながら先にお尋ねさせてください。

   韓は秦とわが国の軍を退けることができないのは明白です。

   では、韓は両軍の攻撃を受けてみすみす滅びる道を選ぶでしょうか?

   それとも、領土を割譲して和を請うてきましょうか?」

 

王「和を請うてきような(滅亡だけはしたくないだろう)」

 

張旄「では、韓は秦と魏のどちらに恨みを抱くでしょうか?」

 

王「わが魏であろうな(兄弟国だしな・・・)」

 

張旄「では、国力的に秦と魏、どちらを手強い相手だと考えるでしょうか?」

 

王「それは秦であろうな(国力・軍事力では比較にならんな)」

 

張旄「では、最後にお聞き致します。

   韓は手強く、しかも恨みを抱いていない秦に降伏するでしょうか?

   それとも、弱く、恨みを抱いている魏に降伏するでしょうか?」

 

王「手強く、恨みがない秦に降伏するであろうな(当然だな)」

 

張旄「韓攻撃に加わるかやめるか、これで賢明な陛下は自然とお分かりだと思われます」

 

王「・・・やめるべきであるな・・・」

 

 

 こうして、安キ王は再び計画を断念します。

 

 

●魔法の交渉術、イエスセット

 

 現代の交渉術を紹介する本にもよく紹介されているものにエスセットというものがあります。 

 

知っている方も多いのではないでしょうか??

 

まず、イエスセットについて軽く紹介します。

★★★イエスセット交渉術★★★

エスセット交渉術とは、本題に入る前に「Yes」しか言えない質問を繰り出し、さりげなく本題に入って、流れに乗せられた相手に「Yes」と言わせる方法です。

 

これは科学的にも実証されていて、Yesを言い続けるとYesを言いやすくなってしまう人間の心理をついた交渉術なのです。

 

たとえばこんな感じです。

 

AさんはBさんに新作の日焼け止めを試用してもらいたいとします。

A「最近は梅雨で雨ばかりでしたが、きょうはいい天気になりましたね」

B「そうですね」

A「やはり天気がいいと、気持ちもいいですね」

B「まったくですね」

A「太陽も夏の太陽って感じですね」

B「そうですね、ギラギラした感じですね」

A「こう日差しが強いと日焼けが気になりますよね」

B「そうですね」

A「皮膚がんのリスクも上がるといいますし怖いですよね。一度この日焼け止めを試用してみませんか??本命の質問

B「では一度使ってみましょうかね」

 

 

エスセットの有効性は「一貫性の法則」とよばれる心理学的法則で説明されているようです。

 

物理法則でも「慣性の法則」と呼ばれるものを知っている人がいると思います。

電車で立っているときに急ブレーキをかけられると、体はもとのスピードの状態でいようとするので、前のめりになってしまうあれです。

 

一貫性の法則も同じ原理です。

 

つまり、人は何事にも無意識のうちに一貫性を保つように思考・行動する性質があり、Yesを言い続けるとYesを言いやすくなるということです。

 

人間も自然の一部なので、人の心理も自然の法則に沿っているいるのかもしれませんね。

 

 

●イエスセットの発展形交渉術

 

 ここで、すこし「??」となった人もいるかもしれません。

 

さきほどの逸話は一度も「Yes」はいっていませんね(笑)

 

じゃあイエスセットではないのじゃないの!!??

 

そうです。単純なイエスセットではないんです。

 

エスセットにさらに理詰め交渉術を加えた「超イエスセット交渉術」なのです!!

 

もう一度見てみましょう。

 

 

今回では、張旄は「韓攻めはやめさせたい」というのが本命です。

 

王「強い秦と連合して、弱い韓を攻撃しようと思うが、お前はどう思う??

  (攻撃して領土を広げたい!)」

 

張旄「恐れながら先にお尋ねさせてください。

   韓は秦とわが国の軍を退けることができないのは明白です。

   では、韓は両軍の攻撃を受けてみすみす滅びる道を選ぶでしょうか(No)?

   それとも、領土を割譲して和を請うてきましょうか(Yes)?」

 

王「和を請うてきような(滅亡だけはしたくないだろう)(Yes)

 

張旄「では、韓は秦と魏のどちらに恨みを抱くでしょうか?

                    (秦がNo、Yes

 

王「わが魏であろうな(兄弟国だしな・・・)(Yes)

 

張旄「では、国力的に秦と魏、どちらを手強い相手だと考えるでしょうか?」

                    (魏がNo、Yes

 

王「それは秦であろうな(国力・軍事力では比較にならんな)(Yes)」

 

張旄「では、最後にお聞き致します。(本命の質問)

   韓は手強く、しかも恨みを抱いていない秦に降伏するでしょうか?Yes

   それとも、弱く、恨みを抱いている魏に降伏するでしょうか?(No)」

 

王「手強く、恨みがない秦に降伏するであろうな(当然だな)(Yes)」

 

張旄「韓攻撃に加わるかやめるか、これで賢明な陛下は自然とお分かりだと思われます」

 

王「・・・やめるべきであるな・・・」

 

単純なYes/Noではないのでわかりにくいとは思いますが、実は張旄の質問はイエスセットになっていて、

 

安キ王が必ずYesの選択肢を選ぶと見込んで質問を作っています。

 

さらに、その質問が正確に理屈に沿っているので、その効果はさらに跳ね上がっているのです。

 

エスセットの魔法にかかった状態で、理屈でも攻められると、もはやNoを言うことはできないですね(笑)

 

 

 

●まとめ

 

今回は、魔法のイエスセット+理詰めの超イエスセット交渉術についてのお話を紹介しました。

 

エスセット交渉術自体は非常に有効であるので、ここぞというときのために知っておくと便利だと思います。

 

ただし、サイドエフェクトも強いです。(T_T)

 

半分だましのような要素があるので、エスセットを相手が知っていると、かわされた挙句に信用を失う可能性があります。

 

そのため、重要なことは「相手をしっかりと選ぶこと乱発はしないこと」になってきます。

 

 

皆さんも、相手を見極め、正念場でだけこのイエスセットという魔法を使って思い通りの結果を出せるようにしてみませんか??

 

 

これに興味をもった方は、交渉術を極めれば、 

張旄のように、他の交渉術との合わせ技を習得できるようになるでしょう!!

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>

 

新型コロナの再流行の兆しが見え始めていますが、皆さんもご自愛ください。

 

<図はhttps://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

より拝借致しました。>

 

 

次回予告 鄭の名宰相「子産」に見る「動かない相手を動かす方法」を予定しています!!

 

前回

 ホントは努力するほど失敗するって知ってる??[戦国策 魏策]

honnotabibito.hatenablog.com


 

 

 

 

 

ホントは努力するほど失敗するって知ってる??[戦国策 魏策]

 

◆目次◆

 

なかなか書く時間がとれず、少し時間が空いてしまいました。(;^ω^)

少なくとも週一でアップしたい!頑張ります(T_T)

 

 

●努力と失敗が比例する

「何かをしたい!!」や「これを達成したい!!」

と思うことがあると思います。

そして、それに向けて努力をして達成しようとする。

 

ここまではみんな共通。

 

でも、その結果は努力が実って「成功する」ときもあれば、あれだけ努力したのに「達成できない」あるいは「逆に遠のいた」ときもあります。

 

前者は結果オーライだからほっときましょう(笑)

 

では、

 

後者の原因は何だったんでしょう?

 

頑張っているのに目的をいつまでたっても達成できない。

例えば、

学生であれば、

「10時間勉強しているのに偏差値が横ばい」

経営者であれば、

「寝る間も惜しんだのに業績が落ちた」

などなど。

 

本当に努力して頑張っている場合であれば、

 

考えられる原因は実は1つしかないのです。

 

 

●この記事を書こうとしたきっかけ

 

この記事を書くきっかけは1冊の本を読んで、まさに「戦国策 魏策」にあった逸話に通じるものを感じたことです。

 

私はAmazonのkindleunlimitedの会員なのですが、

先日「まんがでできる 営業の見える化という本を読みました。

 

著者は長尾一洋さんで、出版社はあさ出版さんです。

 

非常に読みやすくて分かりやすいです。経営者の方は一度読んでみてはいかがでしょうか?

 

この本では、主人公が勤務する業績不振の会社が、営業の見える化をするために、日報を社員に課すようになるところからはじまります。

 

その日報は、営業マンが自分の1日の営業行動を記録するというもの。

 

つまり、営業マンの行動を管理してサボらないようにさせるシステムです。

 

これまで以上に主人公を含む営業マンがセールスを頑張りますが、いくら努力しても業績が上がりません。

 

ではなぜ上がらなかったのか?

 

後でこの答えは書きたいと思います!!

 

 

●舞台は戦国時代の魏(ギ)!

3本目も「戦国策」で行きます!!

 

 

舞台は戦国の七雄と呼ばれる列強の1つ、の国。

 

もとはと言えば、二作前で紹介した「晋」の国が分裂して誕生した国です。

 

魏は、天下の枢と呼ばれた中原という非常に肥沃な国土を有し、文化も熟れていました。

さらに外国から有能な人材を取り込んで改革に他国より早期に着手したことで、

戦国時代初期には、戦国最強国として他国を圧倒しました。

 

しかし、他国との戦争に巻き込まれやすい位置でもあったので、次第に国力が低下

 

斉への二度の大敗と、秦との度重なる敗北で疲弊し、覇権を両国に明け渡すことになりました。

 

 

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戦国時代の勢力図

https://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

 より引用。

 

●背景

これから紹介する逸話は、魏が覇権を失ったあとの話です。

 

魏は安キ王(あんきおう)の御代。

 

この王は、猜疑心旺盛で、さらに野心家でもありました。

 

そこで、安キ王は再び魏の力をみせつけようとして、北隣のの首都、邯鄲への進軍を考え始めます。

 

この時期になると魏は秦からの攻撃に押されまくっている時代です。

 

魏は防衛戦で手一杯で、無駄な侵攻作戦に投入できる余剰戦力はありません。

 

秦へのフラストレーションをぶつけるための「腹いせ戦争」としか考えられませんでした。

 

この計画を知った魏の臣下、季梁(きりょう)はすぐに計画を中止させるべく、旅の途中であったにも関わらず、直ちに魏の首都、「大梁(たいりょう)」へと駆け付けます。

 

 

●季梁、方向音痴な男の話をする

 

季梁はもちろん、魏の事情を冷静に判断できていたため、計画の無駄を王に伝える必要があります。

 

しかし、臣下が

 

「魏に王の勝手な戦争につかえる余力はありません!」

 

とは言えないですよね(笑)

 

そこで、季梁は旅の途中で会った1人の男の話をします。

つまり、季梁はたとえ話をすることで王を軽く諫めるような演説をしたんです。

 

季梁はこう話しました。

 

季梁「今帰ってくる途中で1人の男と出会いました。車を北に走らせながら

   男『楚の国に行くつもりだ』

   と申しました。不思議に思った私は

   『南の楚の国に行くのに、なぜ真逆の北へ行くのか?』

   と聞きました。しかし男は、

   男『馬は最上級の馬なのだ』

   と申します。私は間違いを教えてやろうと思って、

   『いい馬かもしれんが、道を間違えている。』

   と教えてやりました。しかし、男は

   男『旅費はたんまりある』

   と得意げに申します。私は親切心から重ねて

   『そうなのかもしれんが、道を間違えている』

   と言いました。しかし、男はそれでも

   男『いい御者も付いているのだ』

   と言って聞き入れません。」

 

王「なんと愚かな男なものだ」

 

季梁「そうでございます。

  こう条件がそろっていれば、ますますこの男は楚か

  ら遠ざかってしまうだけでございます。

   先日、国王陛下が趙攻めを計画していると耳に致しました。

   今、国王陛下が覇王たらんとして、天下の信頼を得ようとなさり、わが国が大き

   く、強力な軍があることを恃んで邯鄲(趙の首都)を攻め、領土を広げることで

   名を成さんとなさっています。

   しかし、いまここで下手に動けば、それだけ覇業か

       遠ざかるばかりでございます。

  まるで、楚に行こうとして、逆に北に向かっていく

       うなものでございます。」

 

王「・・・」

 

 

●方向の重要性

 

ここまで読んでいただけた方はもうお分かりだとおもいます。

 

この男は、良馬、豊富な旅費など楚へ旅をするには十分すぎる条件をもっています。

目的を達成するための努力に当たる

 

しかし、目的地である楚の国がある南ではなく、真逆の北の方に車を走らせているのです。

さらに、季梁が教えても全く耳を貸しません。

(方向の間違いを修正をしない)

 

これでは、いつまでたっても楚の国(達成したい目標)には到着しません。

 

つまり、成功するためには、能力と努力に加えて

たえず原則・方針を確認し、努力する方向性を見失わないこと

が非常に大切なのです。

 

 

●答え合わせ

 

 

 

では、先ほどの答え合わせといきましょう!!

 

ずばり、業績があがらなかった原因は、

 

業績をあげることが目的であるはずの日報が、営業マンの行動監視をするものにすり替わってしまっていて、業績を上げるために営業マンがどんな提案をして、顧客側がどんなレスポンスをし、どうすれば受け入れてもらえると考えたのか、また消費者が商品に対してどんな評価をしているのかといった重要な内容を書かせるものではなかった

 

ということでした。

 

このように、商品を売って業績を上げるはずが、営業マンの行動監視になってしまうと、監視が厳しくなった営業マンは売り込もうと努力しますが、商品に問題が有ったり、ニーズに応えられていなかったりする場合、業績は微々としか上がりません

 

また、極端ですが営業マンの行動を常に監視しようとして、GPSを付けたりすれば、

(=間違った方向に一層努力する)監視の厳しさで営業マンが退職してしまう可能性もあります。

 

こうなれば、売り込みをする人がいなくなって、ますます売り上げが落ちるばかりです。

 

これは、良馬を走らせて北に向かっている愚かな男と同じだと思いませんか??

(もちろん、営業マンがサボっている場合は別ですが、そんなのはレアなケースでしょう)

 

 

●まとめ

 

今回は、方向の重要性についてのお話を紹介しました。

 

これは、ビジネスでもそうですが、全ての事柄に通じるものではないでしょうか。

 

皆さんも、なにかを成功させたいときは、達成するために必要な能力を身に着けるだけでなく、常に自分の目的を確認して、必要があれば方向修正をして、正しい方角を保っていることを確認してから全力で努力するようにしませんか??

 

もし、どうしてもうまくいかないと思ったときは、ぜひこの良馬を走らせて北に向かっている方向音痴な男の話を思い出してみてください!!!

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>

 

<図はhttps://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

より拝借致しました。>

 

 

次回予告 戦国策に見る「ノーを言わせない魔法の交渉術」を予定しています!!

 

前回 賢いウサギは巣穴を3つ掘る[戦国策 斉策]

honnotabibito.hatenablog.com

 

 

 

 

 

賢いウサギは巣穴を3つ掘る[戦国策 斉策]

 

◆目次◆

 

●あなたのホームはいくつ?

人間関係で息苦しいと思うことはだれにでもあるのではないでしょうか。

会社でも学校でも、あるいはなにかのグループでも。      家のイラスト1

 

「あの人が苦手で関わるのがしんどいな」とか、

 

「もうあそこには行きたくないな」とか。

いろいろ思うことは人それぞれだと思います。

 

今の人間関係に苦痛を感じている人に聞きます。

 

「今あなたが、自分の居場所だと思える場所はいくつありますか?」

 

答えが

「会社だけ」とか「家だけ」とか1つしかないと思い当たるのであればこのお話を是非読んでみてください!!

 

●時代は戦国時代

2本目にして早速「戦国策」が登場しました(笑)

しばらくはメインになるかも(笑)

 

舞台は戦国の七雄と呼ばれる列強の1つ、の国。

 

今ものすごい人気を誇っているマンガ「キングダム」はこの戦国時代が舞台になっています。

 

「キングダム」では、「斉」はかなりマイナーな国ですが、実は「キングダム」の時代よりも少し前の時代は、「秦」と「斉」の2強時代が存在しました。

この時代、斉の軍事力は秦に勝るとも劣らないほど強力だったのです。

秦もこれを認めており、秦王をして斉王に対して

「互いに王をやめてワンランク上のを名乗り、残りの5国(韓・魏・趙・楚・燕)を傘下の国として分割しよう。」

と言わしめるほど。

 

余談はこのあたりまでにしましょう。(笑)

どうしても書きたくなってしまうのは悪い癖ですね(;^ω^)

また、キングダム系は別記事で書こうかなと思います!!

 

●背景

斉がこの時代に黄金期だったと書きましたが、その黄金期を築いた人こそ

 

戦国4君の一人、孟嘗君です。周の武王の似顔絵イラスト

 

この人は「食客」とよばれる多芸な人材を3000人も抱えていたと言われています。

この人の功績は素晴らしいものが多く、あとなんせ「人望の厚さ」が尋常じゃありませんでした。

この人は斉の宰相でしたが、「宣王」から「湣王(びんおう)」に代替わりすると、次第にそのハンパない影響力を嫉んだ湣王から嫌がらせを受けるようになりました。

 

●宰相を辞めさせられる

ついに嫌がらせはマックスになり、

 

湣王「先代の宣王に仕えていた大臣には辞めてもらうことにした」

 

と言って、孟嘗君を罷免します。

罷免された孟嘗君は、自分の領地である「薛(せつ)」に帰りました。

自領の治世にも注力していたことが幸いして、孟嘗君は薛の領民に温かく受け入れられました。

 

食客「馮諼(ふうけん)」、策を献じる

薛で平和に暮らし始めた孟嘗君食客の「馮諼」が申し出ます。

 

馮諼「賢いウサギが生き延びるられるのは巣穴が3つあるからなのです。いま、君主様は「薛」という1つの巣穴しかありません。これでは安心していられないでしょう。君主様のために、私がもう2つ掘って差し上げます

 

孟嘗君「それはありがたい。ぜひ先生にお願いしよう」

 

といってお金を与え、送り出しました。

 

●馮諼、魏(ぎ)に行く

馮諼は西隣の「魏」の国に行き、魏王に謁見しました。

 

馮諼「斉はあの有名な孟嘗君を解任しました。いま、孟嘗君を迎えれば魏の国は強くなりますよ!!」

 

魏王「本当か!現宰相を上将軍に降格させるので、是非来てほしい!!」

 

こうして、魏の歓迎の使者が頻繁に孟嘗君のもとに出入りするようになりました。

しかし、孟嘗君は固辞して受けませんでした。

 

孟嘗君、斉の宰相に再任される

魏が孟嘗君を宰相に迎えようとしているのを知った斉の湣王は焦ります

湣王も孟嘗君の凄さをは認めているので、すぐに使者を出し、

 

「へつらい者に惑わされて、申し訳ないことをした。もう一度、斉の宰相として政治をしてくれないか?」

 

と伝えさせました。

 

これで、孟嘗君には再び「斉」という2つ目の巣穴ができたのです。

 

●あと1つ足りない

しかし、湣王は恨まれて解任させられた相手です。

これから先の保証がない。

そこで、馮諼は孟嘗君

 

馮諼「先王(宣王)の祭器を受け取り、この薛の地に宗廟(先王を祭るためのお墓)を建てるべきです

 

と進言し、宗廟を薛に建立させました。

こうなると湣王は、父親のお墓が孟嘗君のもとにあるので、簡単に孟嘗君を遠ざけることができなくなりました。

 

そう、宗廟の存在が3つ目の巣穴となり、斉とのつながりを強固にすることになったのです。

 

破風墓のイラスト

 

馮諼は言いました。

 

馮諼「これで巣穴が3つ完成しました。しばらく安心して過ごすことができますよ

 

こうして、孟嘗君はそのあと数十年も斉の宰相として君臨し、大きな不幸に遭うことこともありませんでした。

 

●まとめ

▶人間関係において

この逸話は狡兎三窟の思想といって、競争の激しい中国では広く知られています。

 

つまり、自分の居場所(ホーム)は複数確保しておくべきだという教訓なのです。

 

居場所がいくつかあれば、ある集団で人間関係につまずいても、

「自分には別の居場所があるんだ」

と思ってスルーできるので、深く悩むことが無くなります。

 

さらに、自分の居場所は別にあると思えば、普段の付き合いでもとても気を遣うことなく接することができるようになって、負担が軽くなります。

 

実際、私自身、自分の居場所が1つしかなかったとき、常に「このグループから捨てられたらどうしよう」と考えて、毎日が苦痛でした。

しかし、もっと成長していろんな人と関わり、複数の居場所ができた今は、人間関係に疲れ切ってしまうことがなくなり、負担なくどのグループとも関われるようになりました。

 

かの有名なYouTuber、「ヒカキン」さんもスーパーで働きながらボイパを投稿していたとき、いやなことが職場であっても、

「自分にはYouTubeがある!」

と思うと気持ちが和らいだようです。

 

▶ビジネスにおいて

競争が激しいビジネスの世界でも、自社のマルチ化は重要です。

ひとつのジャンルだけでは、そのジャンルが傾けば会社も傾いてしまう。

それを防ぐためには、異種の事業を展開することが大切になってきます。

いろんな大手会社はそれを行っています。

例えば、掃除用品などのメーカーである「ダスキン」は、ドーナツで有名な「ミスタードーナツ」を経営しています。

 

もちろん、「この道1本」が悪いというわけではありません。

その道1本でこそ、価値があるものも多いのは確かなのですから。

 

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>

 

〈イラスト素材:「いらすとや」さんから拝借いたしました〉

 

 

 

 

 

 

つらい時期こそ少し頑張ってみる[宣公11年秋]

◆目次◆

●今つらくないですか?

社会で生きていると、嬉しいことも多いですが、つらいことも同じくらい多いですよね。

 

今は新型コロナウイルスが流行しています。

少し猛威が収まりつつありますが、これまでの様々な自粛要請の中で、世界のだれもが、固有の事情でつらい思いをしていると思います。

 

つらい、あるいはしんどい時はどうしても気分が落ち込んだり、気力をなくしたりしがちです。

 

でも、

 

そんな時こそ、努力した成果というのはあとあとになって非常に大きな成果として自分自身に返ってくるものなんです

 

今回はそんなお話を紹介します!

 

●時代は紀元前598年(宣公11年)秋

今回のお話は魯の宣公(21代目の国王)の在位11年目の秋に起こったものです。

舞台は魯の国ではなく、中国大陸北西に存在した超大国の国。

今の時代で言えば、「アメリ」に当たります。

この時期、晋の北では「赤狄(せきてき)」と呼ばれる遊牧民族が勢力を強めつつありました。

 

●晋、めちゃめちゃ焦る(;^ω^)

晋はいくら大国といえど、

「やべェ!」

となります。

あれだけ大きいアメリカも、勢力を強める中国に警戒していますよね。

 

余談ですが、翌年宣公12年には、晋は南方の超大国と大会戦をします。

この「楚」は、少し古いですが、「ソビエト連邦」に当たります。

 

つまり

 

この年はこの2つの超大国マックスにバチバチ状態。

晋としては北と南の二方面戦争につながるリスクがありました。

 

●晋、対策を考える

そこで、晋は赤狄以外の中小の遊牧民族

「一緒に同盟を結んで対抗せえへん?」

と働きかけます。

赤狄の支配は厳しかったようで、中小の遊牧民族は赤狄の支配を嫌い、

「晋に付くほうがマシか」

と、乗り気ではないけれど超大国である晋との同盟を望みました。

こうして、晋は仮約束を取り付けることに成功し、会合を開くことになりました。

●じゃあ、どこで会合しようか?

晋が議長国なので、晋国内で行うべき。

まあそれが普通な気がしますよね。

 

その通り、晋の大臣の多くも

「国内に呼びつければよくない?こっちが議長国やし、やばい時期やから」

と言いました。

 

しかし

 

この時、宰相である郤缼(げきけつ)という人は

 

この厳しい時期だからこそ、頑張って努力することが大事。努力をすれば、成果はでるもの。こちらから出向こう。

と言って、景公(晋の君主)と一緒に出向きました。

 

この行動に感激した中小の遊牧民族は、晋に厚い信頼を置くようになりました。

●同盟の成果ははたして・・・?

こうして強固な同盟を晋は結び、北の守りを固めることができました。

 

そしていよいよ翌年紀元前599年。

 

晋は楚と

 

邲(ひつ)の戦い

と呼ばれる、世界の覇権をかけた大会戦を行います。

 

しかし、この大会戦で晋は全軍のほぼ半数を失う大敗を喫しました。

 

この後、影響力を失った晋は傘下の同盟国を次第に失うことになりました。

しかし、晋に信頼を寄せた中小の遊牧民族は晋を見限らず、北の守りを維持し続けました。

(※このような残っていませんが、弱体化した晋に赤狄が侵攻した記録が敗戦後2年にわたってないということは、おそらく・・・)

 

●結論

これは、晋の「自ら出向く」という努力行動が、「敗戦しても見限られず、晋を信じて守ってくれた」という絶大な成果として現れたということなのです。

 

つまり、

 

 

つらい・しんどい時期に一歩多く努力すれば、その成果は非常に大きな成果として返ってきた」というわけです。

 

 

歴史に ’’if’’ はありませんが、

もしあの時、晋が普通通りに会合に諸族を呼びつけていれば、おそらく見限られて滅亡していた可能性も大いにあります。

 

だから、つらい・しんどいと思うときこそ、少しでも頑張って努力してみませんか?

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>

 

 

 

 

 

そんなに春秋左氏伝っておいしいの??( ゚Д゚)?

▶目次◀

 

●春秋左氏伝とは何?

まあ、古代中国史が好きな人でない限り、「春秋左氏伝」を知っている人はいないでしょう。

実は、地味に高校の教科書や模試、大学受験の問題として出ていることもあるのですが(笑)

 

学生で気になる人は出典をチラ見してみるのもいいかも??

 

本題に戻しましょう。

 

春秋左氏伝とは、「中国の春秋戦国時代に存在した『魯』の国の歴史を、孔子が『春秋』という書物として記録し、後世に左丘明という孔子のお弟子さんがこれに注釈を加えたもの」と言われている書物です。

 

魯は「ロ」と読みます。

 

孔子といえば、「論語」が有名なだけに、「春秋」という書物を書いていたことはなかなか知られていません。

私もその一人でした(;^ω^)

 

春秋左氏伝には兄弟書があって、「春秋公羊伝」と「春秋穀梁伝」があります。

これらをまとめて「春秋三伝」と呼ばれています。

 

このなかでも、春秋左氏伝は、史実の正確性、文体の良さ、逸話の豊富さで、ひと際秀でていると評価が高いです。

 

 

●どんなふうに役立つの?

まあ、歴史書ですから基本史実の羅列です。

 

「何年、誰が何をした。」とか「どこかの国の王様がトイレにはまって亡くなった。」とか。

 

しかし!

 

ところどころに収められているエピソードには非常に参考にしたい様々な人物の言動が残されています。

 

その部分から、どのようにすればうまく問題を解決できるのか、解決のヒントが見えてくるのです。

 

 

●参考文献は何を使ってるの?

参考文献としては、小倉芳彦という方が書かれた「春秋左氏伝」という訳本を使っています。上・中・下の三冊で構成されています。

出版社は岩波文庫です。

 

古代中国の書物って非常に難解な部分が多く、表現1つでも、漢字が違うだけで批判の意味が込められていたり。

 

いやそんなの素人にわかるはずないやん!!

 

しかし、この本ではそのような細かい部分の解釈もわかりやすく説明してくれています。

 

古代中国史春秋時代の知識が少しあるという方は是非手に取ってみてください!!

 

非常に緻密で、しっかりとした内容になっています。

 

でも、「古代中国史を全然知らん!」っていう方!!

 

初めての人には正直あまりおすすめはしません。

 

そんな方はまず・・・

 

是非このブログを読んでみてください!!

 

できる限りわかりやすく、普段の生き方に生かせるように書いていきます!!

 

●春秋左氏伝だけ?

 基本的に春秋左氏伝を紹介するつもりですが、ほかの本のエピソードも入れていくつもりです。

 

戦国策」や宮城谷昌光さんの小説なども考えています。

 

時には、私が読んだ実用書についても書こうかなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古代中国史は人間ドラマの宝庫!!!

●歴史はただの記録じゃない!!

歴史といえば、多くの人が学校で世界史や日本史といった教科で学習してきたと思います。

しかし、学問としての歴史の授業は、基本的に年号とその年の出来事を教わるだけ。

そこに至った背景や裏にあった思惑は説明してくれません。

これだけでは、到底面白いどころか、自分の生き方に何一つ応用することができません。

古代中国史に限る話ではありませんが、歴史には多くの人間ドラマが詰め込まれて、私たちの生き方に生かすことができます

 

中でも特に、戦国時代のような激動の時代では、国や人の少しの判断の遅れや失策は滅亡につながり、歴史からフェードアウトしていきました。

つまり、その時代の人は生き残りをかけて必死に考えなければならなかった。

そのため、この時代に生きた(生き抜いた)人の考え方は、非常に密度が高く本質をついたものが多いです。

 

だから、ただの記録ではないんです!!

 

そこから学ぶべきことが隠されているのです。

 

でもそれだけじゃないんです。

 

●歴史は人間ドラマだから面白い

読んでいて非常に面白いんです!!

 

売られている多くのビジネス書や実用書、小説に勝るとも劣らないレベル

 

なぜなら、人間ドラマだから。ドラマを観るのと同じくらい面白いんです。

 

じゃあ何を読んでみればいいの?

 

一番初めに手に取るのなら、やはり孫子の兵法

読んで損することは100%ありません

いろんな方が本を書いていますので、非常に読みやすいと思います。

 

こんな感じで、いろんな人が孫子の兵法は語りつくしているので、私は別の歴史書を紹介します。

 

有名だけどあまり知られていない春秋左氏伝です。

 

激動の中国春秋時代の歴史について書かれた書物です。

 

このブログでは春秋左氏伝のエピソードを中心に、

分かりやすく、面白く、魅力的に書いていきたいと思います!