ほんのたびびと     ~something of a traveller~

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ホントは努力するほど失敗するって知ってる??[戦国策 魏策]

 

◆目次◆

 

なかなか書く時間がとれず、少し時間が空いてしまいました。(;^ω^)

少なくとも週一でアップしたい!頑張ります(T_T)

 

 

●努力と失敗が比例する

「何かをしたい!!」や「これを達成したい!!」

と思うことがあると思います。

そして、それに向けて努力をして達成しようとする。

 

ここまではみんな共通。

 

でも、その結果は努力が実って「成功する」ときもあれば、あれだけ努力したのに「達成できない」あるいは「逆に遠のいた」ときもあります。

 

前者は結果オーライだからほっときましょう(笑)

 

では、

 

後者の原因は何だったんでしょう?

 

頑張っているのに目的をいつまでたっても達成できない。

例えば、

学生であれば、

「10時間勉強しているのに偏差値が横ばい」

経営者であれば、

「寝る間も惜しんだのに業績が落ちた」

などなど。

 

本当に努力して頑張っている場合であれば、

 

考えられる原因は実は1つしかないのです。

 

 

●この記事を書こうとしたきっかけ

 

この記事を書くきっかけは1冊の本を読んで、まさに「戦国策 魏策」にあった逸話に通じるものを感じたことです。

 

私はAmazonのkindleunlimitedの会員なのですが、

先日「まんがでできる 営業の見える化という本を読みました。

 

著者は長尾一洋さんで、出版社はあさ出版さんです。

 

非常に読みやすくて分かりやすいです。経営者の方は一度読んでみてはいかがでしょうか?

 

この本では、主人公が勤務する業績不振の会社が、営業の見える化をするために、日報を社員に課すようになるところからはじまります。

 

その日報は、営業マンが自分の1日の営業行動を記録するというもの。

 

つまり、営業マンの行動を管理してサボらないようにさせるシステムです。

 

これまで以上に主人公を含む営業マンがセールスを頑張りますが、いくら努力しても業績が上がりません。

 

ではなぜ上がらなかったのか?

 

後でこの答えは書きたいと思います!!

 

 

●舞台は戦国時代の魏(ギ)!

3本目も「戦国策」で行きます!!

 

 

舞台は戦国の七雄と呼ばれる列強の1つ、の国。

 

もとはと言えば、二作前で紹介した「晋」の国が分裂して誕生した国です。

 

魏は、天下の枢と呼ばれた中原という非常に肥沃な国土を有し、文化も熟れていました。

さらに外国から有能な人材を取り込んで改革に他国より早期に着手したことで、

戦国時代初期には、戦国最強国として他国を圧倒しました。

 

しかし、他国との戦争に巻き込まれやすい位置でもあったので、次第に国力が低下

 

斉への二度の大敗と、秦との度重なる敗北で疲弊し、覇権を両国に明け渡すことになりました。

 

 

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戦国時代の勢力図

https://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

 より引用。

 

●背景

これから紹介する逸話は、魏が覇権を失ったあとの話です。

 

魏は安キ王(あんきおう)の御代。

 

この王は、猜疑心旺盛で、さらに野心家でもありました。

 

そこで、安キ王は再び魏の力をみせつけようとして、北隣のの首都、邯鄲への進軍を考え始めます。

 

この時期になると魏は秦からの攻撃に押されまくっている時代です。

 

魏は防衛戦で手一杯で、無駄な侵攻作戦に投入できる余剰戦力はありません。

 

秦へのフラストレーションをぶつけるための「腹いせ戦争」としか考えられませんでした。

 

この計画を知った魏の臣下、季梁(きりょう)はすぐに計画を中止させるべく、旅の途中であったにも関わらず、直ちに魏の首都、「大梁(たいりょう)」へと駆け付けます。

 

 

●季梁、方向音痴な男の話をする

 

季梁はもちろん、魏の事情を冷静に判断できていたため、計画の無駄を王に伝える必要があります。

 

しかし、臣下が

 

「魏に王の勝手な戦争につかえる余力はありません!」

 

とは言えないですよね(笑)

 

そこで、季梁は旅の途中で会った1人の男の話をします。

つまり、季梁はたとえ話をすることで王を軽く諫めるような演説をしたんです。

 

季梁はこう話しました。

 

季梁「今帰ってくる途中で1人の男と出会いました。車を北に走らせながら

   男『楚の国に行くつもりだ』

   と申しました。不思議に思った私は

   『南の楚の国に行くのに、なぜ真逆の北へ行くのか?』

   と聞きました。しかし男は、

   男『馬は最上級の馬なのだ』

   と申します。私は間違いを教えてやろうと思って、

   『いい馬かもしれんが、道を間違えている。』

   と教えてやりました。しかし、男は

   男『旅費はたんまりある』

   と得意げに申します。私は親切心から重ねて

   『そうなのかもしれんが、道を間違えている』

   と言いました。しかし、男はそれでも

   男『いい御者も付いているのだ』

   と言って聞き入れません。」

 

王「なんと愚かな男なものだ」

 

季梁「そうでございます。

  こう条件がそろっていれば、ますますこの男は楚か

  ら遠ざかってしまうだけでございます。

   先日、国王陛下が趙攻めを計画していると耳に致しました。

   今、国王陛下が覇王たらんとして、天下の信頼を得ようとなさり、わが国が大き

   く、強力な軍があることを恃んで邯鄲(趙の首都)を攻め、領土を広げることで

   名を成さんとなさっています。

   しかし、いまここで下手に動けば、それだけ覇業か

       遠ざかるばかりでございます。

  まるで、楚に行こうとして、逆に北に向かっていく

       うなものでございます。」

 

王「・・・」

 

 

●方向の重要性

 

ここまで読んでいただけた方はもうお分かりだとおもいます。

 

この男は、良馬、豊富な旅費など楚へ旅をするには十分すぎる条件をもっています。

目的を達成するための努力に当たる

 

しかし、目的地である楚の国がある南ではなく、真逆の北の方に車を走らせているのです。

さらに、季梁が教えても全く耳を貸しません。

(方向の間違いを修正をしない)

 

これでは、いつまでたっても楚の国(達成したい目標)には到着しません。

 

つまり、成功するためには、能力と努力に加えて

たえず原則・方針を確認し、努力する方向性を見失わないこと

が非常に大切なのです。

 

 

●答え合わせ

 

 

 

では、先ほどの答え合わせといきましょう!!

 

ずばり、業績があがらなかった原因は、

 

業績をあげることが目的であるはずの日報が、営業マンの行動監視をするものにすり替わってしまっていて、業績を上げるために営業マンがどんな提案をして、顧客側がどんなレスポンスをし、どうすれば受け入れてもらえると考えたのか、また消費者が商品に対してどんな評価をしているのかといった重要な内容を書かせるものではなかった

 

ということでした。

 

このように、商品を売って業績を上げるはずが、営業マンの行動監視になってしまうと、監視が厳しくなった営業マンは売り込もうと努力しますが、商品に問題が有ったり、ニーズに応えられていなかったりする場合、業績は微々としか上がりません

 

また、極端ですが営業マンの行動を常に監視しようとして、GPSを付けたりすれば、

(=間違った方向に一層努力する)監視の厳しさで営業マンが退職してしまう可能性もあります。

 

こうなれば、売り込みをする人がいなくなって、ますます売り上げが落ちるばかりです。

 

これは、良馬を走らせて北に向かっている愚かな男と同じだと思いませんか??

(もちろん、営業マンがサボっている場合は別ですが、そんなのはレアなケースでしょう)

 

 

●まとめ

 

今回は、方向の重要性についてのお話を紹介しました。

 

これは、ビジネスでもそうですが、全ての事柄に通じるものではないでしょうか。

 

皆さんも、なにかを成功させたいときは、達成するために必要な能力を身に着けるだけでなく、常に自分の目的を確認して、必要があれば方向修正をして、正しい方角を保っていることを確認してから全力で努力するようにしませんか??

 

もし、どうしてもうまくいかないと思ったときは、ぜひこの良馬を走らせて北に向かっている方向音痴な男の話を思い出してみてください!!!

 

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>

 

<図はhttps://sekainorekisi.com/download/%e7%b4%80%e5%85%83%e5%89%8d315%e5%b9%b4%e9%a0%83%e6%88%a6%e5%9b%bd%e6%99%82%e4%bb%a3%e5%9c%b0%e5%9b%b3/

より拝借致しました。>

 

 

次回予告 戦国策に見る「ノーを言わせない魔法の交渉術」を予定しています!!

 

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