NO!を言わせない魔法の交渉術[戦国策 魏策]
気づけばほぼ二か月が経過してしまいました(;^ω^)
記事を待ってくださっていた方々、申し訳ございません。
コロナで停滞していたしわ寄せが予想以上でした。
皆さんも新型コロナの影響で大変な状況であると思いますが、乗り切っていきましょう!
●魔法の交渉術、知りたくない??
あなたは
「どうしても相手にこうしてほしい!!」
と思うときがありませんか??
例えば、社会人の方であれば仕事で取引先との交渉の時。
ここは、どうにかしてでも無理やり相手の頭を縦に振らせたい!!
でも、できるだけ穏便にことは済ましたいですよね(笑)
じゃあ、相手に自然に頭を縦に振ってもらう。
つまり、波風立てずに100%「Yes」と言わせるにはどうすればよいでしょうか?
実はこれから紹介するのは、現代でもよくつかわれる「強力」かつ「簡単」で、相手が魔法にかかっていることに気づかない交渉術になっているのです。
あなたも実は知らないうちにこの魔法にかかっているかも??
では本日もいきましょう!!!
●舞台はまたもや魏(ギ)!
4本目も「戦国策」です!!それも「魏策」から!!
舞台は再び「戦国の七雄」と呼ばれる列強の1つ、「魏」の国です。
前作で魏のおおまかな歴史を紹介しました。
まだ「読んでいない!」という方は短いので是非ちょこっと読んでみてください!
魏は、敗戦を重ね、列強の軍を退けられるだけの強力な軍を失ってからは、ひたすら交渉によって難事を乗り切ろうとするようになります。
そのため、交渉の技術がなにせめっちゃ高いです!!
より引用。
●背景
実はほぼ前作と同じ時代の話です。魏が覇権を失ったあとですね。
魏は同じく安キ王(あんきおう)の御代。
この王は、猜疑心旺盛で、さらに野心家と前作で紹介しました。
つまり、問題児の資質を持っているんですね。
で、またこの人の迷走が原因でこの逸話が生まれました。(;^ω^)
この人、なにかをやらかそうとしないと気が済まない人のようです(笑)
今回は、秦が魏に隣国の韓に連合して攻め込み、領土を広げようという誘いがかかるところから始まります。
好機到来!!!!!!
とばかりに
またまた安キ王は再び魏の力をみせつけようとして、南隣の「韓」に、
当時もはや一強状態だった元敵国「秦」と共同して侵攻し、領土を拡大しようと計画します。
実は「魏」と「韓」は、もともと「晋」という大国が分裂してできた兄弟国で(ちなみに前作ででた「趙」もです)、非常に仲がいい国同士でした。
しかし、
魏の安キ王は自国と自分しか見えていないので、ついにめちゃめちゃ強い宿敵と組んで弱い兄弟国を攻撃するという暴挙を考えたのです(笑)
●王、暴挙を臣下に諮問する
しかし前作と異なり、さすがに自身でも「暴挙かも??」と思ったのか、
臣下である「張旄(ちょうぼう)」に事の是非を諮問することにします。
ではお話を、心の声付きで紹介します。(笑)
王「強い秦と連合して、弱い韓を攻撃しようと思うが、お前はどう思う??
(攻撃して領土を広げたい!)」
張旄「恐れながら先にお尋ねさせてください。
韓は秦とわが国の軍を退けることができないのは明白です。
では、韓は両軍の攻撃を受けてみすみす滅びる道を選ぶでしょうか?
それとも、領土を割譲して和を請うてきましょうか?」
王「和を請うてきような(滅亡だけはしたくないだろう)」
張旄「では、韓は秦と魏のどちらに恨みを抱くでしょうか?」
王「わが魏であろうな(兄弟国だしな・・・)」
張旄「では、国力的に秦と魏、どちらを手強い相手だと考えるでしょうか?」
王「それは秦であろうな(国力・軍事力では比較にならんな)」
張旄「では、最後にお聞き致します。
韓は手強く、しかも恨みを抱いていない秦に降伏するでしょうか?
それとも、弱く、恨みを抱いている魏に降伏するでしょうか?」
王「手強く、恨みがない秦に降伏するであろうな(当然だな)」
張旄「韓攻撃に加わるかやめるか、これで賢明な陛下は自然とお分かりだと思われます」
王「・・・やめるべきであるな・・・」
こうして、安キ王は再び計画を断念します。
●魔法の交渉術、イエスセット
現代の交渉術を紹介する本にもよく紹介されているものにイエスセットというものがあります。
知っている方も多いのではないでしょうか??
まず、イエスセットについて軽く紹介します。
★★★イエスセット交渉術★★★
イエスセット交渉術とは、本題に入る前に「Yes」しか言えない質問を繰り出し、さりげなく本題に入って、流れに乗せられた相手に「Yes」と言わせる方法です。
これは科学的にも実証されていて、Yesを言い続けるとYesを言いやすくなってしまう人間の心理をついた交渉術なのです。
たとえばこんな感じです。
AさんはBさんに新作の日焼け止めを試用してもらいたいとします。
A「最近は梅雨で雨ばかりでしたが、きょうはいい天気になりましたね」
B「そうですね」
A「やはり天気がいいと、気持ちもいいですね」
B「まったくですね」
A「太陽も夏の太陽って感じですね」
B「そうですね、ギラギラした感じですね」
A「こう日差しが強いと日焼けが気になりますよね」
B「そうですね」
A「皮膚がんのリスクも上がるといいますし怖いですよね。一度この日焼け止めを試用してみませんか??」(本命の質問)
B「では一度使ってみましょうかね」
イエスセットの有効性は「一貫性の法則」とよばれる心理学的法則で説明されているようです。
物理法則でも「慣性の法則」と呼ばれるものを知っている人がいると思います。
電車で立っているときに急ブレーキをかけられると、体はもとのスピードの状態でいようとするので、前のめりになってしまうあれです。
一貫性の法則も同じ原理です。
つまり、人は何事にも無意識のうちに一貫性を保つように思考・行動する性質があり、Yesを言い続けるとYesを言いやすくなるということです。
人間も自然の一部なので、人の心理も自然の法則に沿っているいるのかもしれませんね。
●イエスセットの発展形交渉術
ここで、すこし「??」となった人もいるかもしれません。
さきほどの逸話は一度も「Yes」はいっていませんね(笑)
じゃあイエスセットではないのじゃないの!!??
そうです。単純なイエスセットではないんです。
イエスセットにさらに理詰め交渉術を加えた「超イエスセット交渉術」なのです!!
もう一度見てみましょう。
今回では、張旄は「韓攻めはやめさせたい」というのが本命です。
王「強い秦と連合して、弱い韓を攻撃しようと思うが、お前はどう思う??
(攻撃して領土を広げたい!)」
張旄「恐れながら先にお尋ねさせてください。
韓は秦とわが国の軍を退けることができないのは明白です。
では、韓は両軍の攻撃を受けてみすみす滅びる道を選ぶでしょうか(No)?
それとも、領土を割譲して和を請うてきましょうか(Yes)?」
王「和を請うてきような(滅亡だけはしたくないだろう)(Yes)」
張旄「では、韓は秦と魏のどちらに恨みを抱くでしょうか?」
(秦がNo、魏がYes)
王「わが魏であろうな(兄弟国だしな・・・)(Yes)」
張旄「では、国力的に秦と魏、どちらを手強い相手だと考えるでしょうか?」
(魏がNo、秦がYes)
王「それは秦であろうな(国力・軍事力では比較にならんな)(Yes)」
張旄「では、最後にお聞き致します。(本命の質問)
韓は手強く、しかも恨みを抱いていない秦に降伏するでしょうか?(Yes)
それとも、弱く、恨みを抱いている魏に降伏するでしょうか?(No)」
王「手強く、恨みがない秦に降伏するであろうな(当然だな)(Yes)」
張旄「韓攻撃に加わるかやめるか、これで賢明な陛下は自然とお分かりだと思われます」
王「・・・やめるべきであるな・・・」
単純なYes/Noではないのでわかりにくいとは思いますが、実は張旄の質問はイエスセットになっていて、
安キ王が必ずYesの選択肢を選ぶと見込んで質問を作っています。
さらに、その質問が正確に理屈に沿っているので、その効果はさらに跳ね上がっているのです。
イエスセットの魔法にかかった状態で、理屈でも攻められると、もはやNoを言うことはできないですね(笑)
●まとめ
今回は、魔法のイエスセット+理詰めの「超イエスセット交渉術」についてのお話を紹介しました。
イエスセット交渉術自体は非常に有効であるので、ここぞというときのために知っておくと便利だと思います。
ただし、サイドエフェクトも強いです。(T_T)
半分だましのような要素があるので、イエスセットを相手が知っていると、かわされた挙句に信用を失う可能性があります。
そのため、重要なことは「相手をしっかりと選ぶことと乱発はしないこと」になってきます。
皆さんも、相手を見極め、正念場でだけこのイエスセットという魔法を使って思い通りの結果を出せるようにしてみませんか??
これに興味をもった方は、交渉術を極めれば、
張旄のように、他の交渉術との合わせ技を習得できるようになるでしょう!!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。<(_ _)>
新型コロナの再流行の兆しが見え始めていますが、皆さんもご自愛ください。
より拝借致しました。>